久しぶりに面白い本を読んだので紹介させてください。
面白いとは書きましたが、お腹を抱えて笑ったり、ドキドキを感じたり、ワクワクしたりというような本ではありません。なんというか、かんというか、うまく説明できないんですが……
あー、語彙力がないな!(笑)
「語彙力を鍛える」
光文社新書 石黒圭
ブログ、仕事で作るドキュメントやメール、Twitterなどなど。文章を書く機会はたくさんあるのですが、上手く伝わる言葉を見つけるのが苦手なんです。さらに、「この使い方であっているんだっけ?」という不安もあって、辞書を引く回数も多め……。
語彙力を身につけたいなーと思って、最近それに関する本を何冊か読みました。
どちらかというと「こうやって語彙を増やそう」というテクニックに近い内容の本がほとんどだったんですが、この本はテクニックというより、もっと言葉の本質に迫っている感じがしました。
この本は、全3章で構成されています。
第1章 語彙についての基礎知識
第2章 語彙の「量」を増やす
第3章 語彙の「質」を高める
第2章は語彙の量の増やし方、第3章では精度の高い語彙の運用方法について記載されています。
ところどころに現れる設問や例文、解説などが本当に面白いんですよ。全体を通して「ですます体」で書かれているので押しつけがましさを感じないということもあり、自分だけに向かって行われる日本語の講義を、相槌を打ちながらのんびりと受講する贅沢な感覚。日本語って面白いなぁと思うと同時に、改めてその難しさも思い知らされた気がします。
コンビニで働く日本語が話せる外国人、マジ、リスペクト(語彙力
あとがきも、また良かったんですよ。一部を引用します。
筆者である私がどちらを重要視しているかというと、「語彙の質」です。「語彙の質」は、読者の心に届くかどうかという定規で測られます。だとすると、偉そうな言葉も凝った言葉も、威勢のいい言葉も必要ありません。ごく普通の地味な言葉で十分です。
本書は、
- 言葉の形に価値があるという「信仰」
- 言葉の形を変えれば中身まで立派になるという「幻想」
- 目を惹く表現を生みだせれば偉くなれるという「風潮」
という、言葉をめぐる現代社会の病と戦うために書きました。
たくさんの単語を覚えたくて「語彙力」というキーワードの本を読みましたが、単に覚えれば良いというわけではないんですね。
大切なのは、その場にふさわしい言葉を選んで紡ぐこと。そういうことだと理解しました。
違うかな?