「羆嵐」を読みました。
「くまあらし」と読むそうで、熊を仕留めた後に必ず吹くと言われる風の事だそうです。
苫前村三毛別の六線沢で起きた羆による獣害事件の事は、「熊嵐」に取り掛かる前に読んだ本とNHKの番組で知っていましたが、こうやって小説仕立てになっているとまた印象が変わってきますね。
もちろん小説なので多少なりの脚色はあるとは思いますが、当時の事が臨場感を持って迫ってくるというか。読みごたえはありました。
登場する人物の中では、銀オヤジ推しです。
銀オヤジっていうのは羆狩り専門の猟師なんですが、子供のころから気性が荒く、厄介者扱いされているオヤジです。実際にはこんなオヤジさんには近寄りたくもないですが……。
さて、熊の話の流れついでに、以前東北を数日かけてツーリングで周った時の話をします。
その日は宿を予約していなかったので、海沿いにある公園にテントを張って寝ることにしました。市街地からは山を一つ隔てたところにあり、周囲には民家もないので若干心細くはあったものの、公園の外灯も点いていたし、先客も2組ほどいたので安心しました。
夜遅くになって外灯が消灯され、辺りは真っ暗に。
テントの中で横になっていたら、遠くの方で男の人の「ギャー!」という悲鳴が聞こえたり、車がやってきてドアの開閉をする音が聞こえたりでかなり緊張。
そんな中、得体のしれない足音がテントに近づいてきたのが一番緊張した場面でした。
カサ......カサ......
(うわ......何かが近づいてくるよ......)
カサ......カサ......
その後、動物の鼻息っぽい音が聞こえたので、鹿かイノシシがいるんだろうなと思いましたが、さすがにテントを開けて確認する勇気は無かったです。
たぶん、「テントがある → 人間がいる → 食べ物がある」って学習しちゃっているんでしょうね。
テント内に踏み込まれなくて良かったですよ。本当に。
そんなことを思い出しながら「羆嵐」を読んでいました。
この本も一読をお勧めします。